製造業や建設業の現場で、ARを使ったマニュアルが急速に広がっています。紙のマニュアルや動画マニュアルでは対応しきれなかった「作業中に、目の前の実物に重ねて手順を確認できる」というAR特有の体験が、作業品質の安定化やトレーニング効率の向上に直結するからです。
一方で、ARマニュアル作成ツールは製品によって技術方式や対応デバイス、導入コストが大きく異なり、「どれを選べばよいかわからない」という声も少なくありません。
本記事では、2026年時点で導入実績のあるARマニュアル作成ツール5選を、機能・料金・選定ポイントとともに徹底比較します。自社の現場に最適なツールを見つける参考にしてください。
手軽にARマニュアルを運用するなら!動画・AR手順書システム「Dive」
ARマニュアルとは、AR(拡張現実)技術を使い、実際の作業対象物にデジタル情報を重ね合わせて表示するマニュアルのことです。スマートフォン、タブレット、またはスマートグラスのカメラで対象物を映すと、手順のテキスト・矢印・3Dアニメーションなどがリアルタイムで表示されます。
従来の紙マニュアルや動画マニュアルとの最大の違いは、「見るべき場所」と「やるべき操作」が空間的に一致する点です。作業者はマニュアルと実物を見比べる必要がなくなり、視線移動による作業ミスや確認漏れが大幅に減少します。
ARマニュアル作成ツールとは、AR技術を活用したマニュアルコンテンツを作成・配信・管理するためのソフトウェアです。3Dモデルや画像、テキスト、動画などの要素を組み合わせて、現場で使えるARマニュアルを構築できます。
動画マニュアルツールとARマニュアル作成ツールは、どちらも現場の作業手順をビジュアルで伝える点では共通しています。しかし、以下の点で大きく異なります。
| 比較項目 | 動画マニュアルツール | ARマニュアル作成ツール |
|---|---|---|
| 表示方式 | 画面上で動画を再生 | 現実空間に情報を重畳表示 |
| 作業中の参照 | 画面を見る→実物を見るの往復が必要 | 実物を見ながら同時に手順を確認可能 |
| スマートグラス対応 | 一部対応(動画再生のみ) | AR表示に最適化(ハンズフリー作業に対応) |
| コンテンツ作成難度 | 動画撮影+編集(比較的容易) | 3Dモデル・空間設定が必要(ツールにより差が大きい) |
| 導入コスト | 比較的安価(月数万円〜) | 高めの傾向(年数十万〜数百万円) |
近年では、動画マニュアルとARマニュアルの両方を1つの製品で扱える統合型ツールも登場しています。「まずは動画マニュアルで始めて、将来的にARに拡張したい」というニーズに応えられる製品を選ぶことで、ツールの乗り換えリスクを抑えることができます。
Diveは「動画マニュアルを作ったのに現場で見られない」課題を根本から解決する、現場作業特化型の動画・AR手順書システムです。動画マニュアルとAR手順書が1つの製品で完結する点が最大の特徴で、他社製品ではARと動画が別製品になっているケースが多いなか、Diveは同一プラットフォームで両方を利用できます。
空間認識AR(VPS技術)を採用しており、現場の画像をそのままARマーカーとして利用可能。QRコードや印刷マーカーの設置が不要で、スマートフォンだけでノーコードにARコンテンツを構築できます。
また、スマートグラス8種類以上に対応しており、ハンズフリーでの作業中マニュアル参照や音声操作が可能。AI自動手順分割(特許技術)により、通し動画をアップロードするだけで手順毎に自動分割され、作成工数を約9割削減できます。さらに、スキルマップ統合により、手順書の作成から教育・スキル評価までが1製品で完結します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供企業 | エピソテック株式会社 |
| AR方式 | 空間認識AR(VPS技術)※QRコード・印刷マーカー不要 |
| スマートグラス対応 | 対応(8種類以上)・音声操作対応 |
| 主な機能 | 動画マニュアル作成、AR手順書作成、AI自動手順分割(特許技術)、スキルマップ統合、多言語対応 |
| 想定作成者 | 現場担当者(ノーコード) |
| 料金 | 60万円/年〜(無料トライアルあり) |
Worklinkは、米国のScope AR社が提供するARマニュアル作成プラットフォームです。直感的なWebエディタで、3DモデルやPDFを取り込みながらAR手順書を作成できます。現場作業者はスマートフォンやタブレットでAR手順書を閲覧し、ステップバイステップで作業を進められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供企業 | Scope AR (米国) |
| AR方式 | マーカー認識 / 画像認識 |
| スマートグラス対応 | 一部対応 |
| 主な機能 | AR手順書作成(Webエディタ)、3Dモデル取り込み、IoT連携、作業記録・分析 |
| 想定作成者 | 技術部門・生産技術担当 |
| 料金 | 要問い合わせ |
Vuforia Work Instructionsは、PTC社が提供するエンタープライズ向けARプラットフォーム「Vuforia」のワークインストラクション製品です。CADデータ(CREOなど)との高度な連携が特徴で、3D CADモデルをそのままAR手順書に活用できます。
大規模な製造業や航空・防衛産業での採用実績が豊富で、既存のPLM(製品ライフサイクル管理)システムとの統合も可能。高い精度のAR表示と、エンタープライズ向けのセキュリティ・管理機能を備えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供企業 | PTC Inc.(米国) |
| AR方式 | 3Dモデル認識 / 空間認識 |
| スマートグラス対応 | 対応(HoloLens 2, RealWear等) |
| 主な機能 | CAD連携AR手順書、3Dアニメーション、PLM統合、エンタープライズセキュリティ |
| 想定作成者 | エンジニア・IT部門(CADスキルが望ましい) |
| 料金 | 要問い合わせ(エンタープライズ向け・年間契約) |
Misterine Studioは、SB C&S社が国内販売を手がけるARマニュアル作成ツールです。ノーコードのWebエディタで、画像やテキスト、動画を組み合わせたAR手順書を作成できます。マーカー型ARを採用しており、QRコードやARマーカーを対象物に設置してARコンテンツを呼び出す仕組みです。
シンプルなUIと比較的手頃な価格帯が特徴で、AR導入の第一歩として検討しやすい製品です。日本語でのサポート体制も整っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供企業 | SB C&S株式会社(国内販売代理店) |
| AR方式 | マーカー型(QRコード / ARマーカー) |
| スマートグラス対応 | 一部対応 |
| 主な機能 | ノーコードARエディタ、マーカー型AR表示、多言語対応、分析ダッシュボード |
| 想定作成者 | 現場担当者・管理部門(ノーコード) |
| 料金 | 要問い合わせ |
Meister AR Suiteは、東芝デジタルソリューションズ株式会社 が提供する製造業向けARソリューションです。設備保全・組立作業・検査工程など、製造現場の幅広いユースケースに対応したAR手順書を作成できます。
3D CADデータの取り込みに対応しており、設備のデジタルツイン上でAR手順書を構築可能。作業履歴の記録やトレーサビリティ機能も充実しており、品質管理体制の強化にも活用されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供企業 | 東芝デジタルソリューションズ株式会社 |
| AR方式 | マーカー認識 |
| スマートグラス対応 | 非対応 |
| 主な機能 | AR手順書作成、作業履歴・トレーサビリティ |
| 想定作成者 | 生産技術・設備保全部門 |
| 料金 | 50,000円/月~ |
| ツール名 | 空間認識AR | スマートグラス対応 | 想定作成者 | 料金 |
|---|---|---|---|---|
| Dive | 対応(VPS技術・マーカー不要) | 8種類以上・音声操作対応 | 現場担当者(ノーコード) | 60万円/年〜 |
| Worklink | 非対応(マーカー/画像認識) | 一部対応 | 技術部門・生産技術 | 要問い合わせ |
| Vuforia Work Instructions | 対応(3Dモデル認識) | 対応(HoloLens 2, RealWear等) | エンジニア・IT部門 | 要問い合わせ |
| Misterine Studio | 非対応(マーカー型) | 一部対応 | 現場担当者(ノーコード) | 要問い合わせ |
| Meister AR Suite | 対応(3Dモデル認識) | 非対応 | 生産技術・設備保全 | 要問い合わせ |
ARマニュアル作成ツールは製品ごとに技術方式や対応デバイス、導入コストが大きく異なります。自社に最適なツールを選ぶために、特に重視すべき3つのポイントを解説します。
ARマニュアルの表示方式には、大きく分けてマーカー型(QRコード・ARマーカーを対象物に設置)と空間認識型(カメラで空間を認識してマーカー不要で表示)があります。
マーカー型は導入が比較的容易ですが、マーカーの印刷・設置・メンテナンスが必要です。対象物が多い現場や、汚れ・振動でマーカーが劣化しやすい環境では運用負荷が高くなります。
一方、空間認識型はマーカー不要で、現場の環境そのものを認識基盤として使えるため、大規模な現場や設備が頻繁に移動する環境に適しています。ただし、空間認識の精度はツールによって差があるため、自社の現場環境で実際にテストすることが重要です。
ARマニュアルの効果を持続させるには、現場の変化に合わせてコンテンツを継続的に更新する必要があります。そのため、「誰がARコンテンツを作成・更新するのか」は非常に重要な選定基準です。
エンジニアやIT部門が作成する前提の製品は、高度なAR表現が可能ですが、更新のスピードが現場のニーズに追いつかないリスクがあります。一方、ノーコードで現場担当者が作成できるツールは、更新のスピードと柔軟性に優れますが、AR表現の自由度が制限される場合があります。
自社の体制と運用方針に合った作成難度のツールを選びましょう。
多くの現場では、AR手順書だけでなく動画マニュアルも併用されています。しかし、ARと動画が別々のツールになっていると、コンテンツの管理が二重化し、更新漏れや情報の不整合が生じやすくなります。
動画マニュアルとAR手順書を1つのプラットフォームで扱えるツールを選ぶことで、管理コストの削減と情報の一貫性を確保できます。「まずは動画マニュアルから始めて、段階的にARを導入したい」という場合にも、統合型ツールであればスムーズに移行できます。
ARマニュアル作成ツールを導入しただけでは、現場のDXは成功しません。ツール選定後の運用フェーズで押さえるべき3つのポイントを紹介します。
全社一斉導入ではなく、まずは1つのラインや工程に絞ってパイロット導入を行いましょう。効果を数値で実証してから展開範囲を広げることで、社内の理解と予算確保がスムーズになります。
パイロット導入時に測定すべき指標の例:
ARマニュアルの最大の敵は「情報の陳腐化」です。現場の工程変更に合わせてマニュアルを更新し続けるには、IT部門任せではなく、現場のリーダーや班長がコンテンツを更新できる体制が必要です。
そのためには、ノーコードで作成・編集できるツールを選ぶとともに、更新ルール(いつ・誰が・どのタイミングで更新するか)を明文化しておくことが効果的です。
ARマニュアルは手順書としてだけでなく、教育・トレーニングのツールとしても活用できます。作業者がARマニュアルを使って作業した履歴をスキル評価に活用したり、習熟度に応じてマニュアルの表示内容を切り替えたりすることで、単なる「手順の見える化」から「スキルの見える化」へ進化させることが可能です。
手順書の作成から教育・スキル評価までを1つのプラットフォームで一気通貫に管理できるツールを選ぶことで、DXの効果を最大化できます。
ARマニュアル作成ツールは、現場の作業品質向上・教育効率化・技能伝承の有力な手段として、製造業を中心に導入が加速しています。一方で、ツールごとにAR方式・対応デバイス・作成難度・コストが大きく異なるため、自社の現場環境と運用体制に合った製品を選ぶことが重要です。
ツール選定の際は、以下の3点を特に重視してください。
Diveは、動画マニュアルとAR手順書が1つの製品で完結し、空間認識AR・スマートグラス対応・AI自動手順分割・スキルマップ統合まで備えた、現場作業特化型のソリューションです。無料トライアルも用意されていますので、まずは自社の現場でお試しください。
手軽にARマニュアルを運用するなら!動画・AR手順書システム「Dive」