技術伝承の取り組みとして、「熟練者の動きを動画にして残す」という事を行っている方/行おうとしている方に向けて、本記事ではTipsを解説します。是非、スムースな技術伝承のための参考にしてください。
本記事では、「必要なとき必要な人が観覧できるようにする」に着目したいと思います。
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作成した手順書は、教育を受ける方(以下、初心者)に使われて初めて意味を成します。目的は、技術の伝承ですからね。初心者が気軽に受け入れられるような体制にしなければなりません。
普段の業務は忙しいのが常だと思います。そのため、技術を伝承できるタイミングというは限定的であったり突発的であったりするかと思います。そのタイミングですぐ必要な手順書にアクセスできなければ、初心者やその教育者の意欲を失せる事につながり、せっかく形式知化したノウハウが活用されないまま技術伝承の試みは下火になることを起こしかねません。
そのため、意図的にどうすれば手順書にアクセスするかを管理者や教育者が設計する事がポイントです。そこで本記事では、作成した手順書の活用促進に課題をもつ皆様に向け、その具体的な方法を紹介したいと思います。
一番シンプルなパターンです。意図をもったフォルダ構造を作成し、手順書に意味のある名前をつけ、フォルダに分けます。考え方としては、「初心者が必要なデータにたどり着くなるようする=必要な手順書をすぐ開ける」というものです。
ポイントとしては、「フォルダ構造に統一性を持たせる」「子フォルダを作らない」です。
■フォルダ構造に統一性を持たせる
採用されるパターンとしては下記が考えられます。
・場所でわける(点検エリアA, など)
・対象機器/設備でわける(工作機械〇〇, など)
・使用タイミングでわける(〇月OJT項目、など)
■子フォルダを作らない
使用する人はフォルダ構造は理解していない、という目線に立ちフォルダ構成は一階層にするとよいかと思います。子フォルダを作りたくなったら、フォルダ構造の粒度を調整しましょう。
物理的な準備が必要ですが、初心者にとって壁が低く活用推進がしやすいパターンです。機器や設備に関連する手順書にアクセスできるURLをQRコードにして印刷し、そのQRコードを対象機器・設備に貼り付けます。考え方としては、「必要なアクセス先が絞り込まれている=必要な手順書をすぐ開ける」というものです。
ポイントとしては、「QRコードにリンクに柔軟性を持たせる」「アクセス制限」です。
■QRコードにリンクに柔軟性を持たせる
物理的な印刷物が必要となるため、いかにデータを更新した時にQRコードを印刷し直ししなくていいかを考える必要があります。初心者だけでなく、運用する側も易しくなくては継続的な活動になりませんからね。
発行元のサービス選定においては、更新の度にURLが変わらないものやbitlyなどの短縮URLといったサービスのように動的にリンク先を変更できる事が望ましいです。
また、現場に貼るQRコード数を減らす目的で、関連手順書に一括でアクセスできるようなフォルダのURLなども良いです。
■アクセス制限
QRコードの特性上、QRコードを読み取れるデバイスがあればだれでもアクセスできてしまいます。そのためセキュリティ対策が必要です。手順書運用においては内部情報であることがほとんどだと思うので、サービス側でログイン処理を要求したり、アクセス権限を調整できるようなものが望ましいです。
手前味噌ですが、AR現場支援システム「Dive」がおすすめです。
先ほど挙げたような2つの方法を同時に実現できます。特に、「方法②:QRコードを現場に貼る方法」に関しては、AIを使った自社特許技術を使う事で、現場にQRコードを貼る工数を削減する事ができます。
現場に印字された文字をAI-OCRで自動解析し、一番近しいフォルダ名・手順書名を検索して候補として出力してくれます。Diveはアプリを開いたときにすぐ自動で上記が実行されるため、初心者に対しては「とりあえず現場の文字を読み取って」というシンプルな運用を推進できます。
「熟練者の動きを動画にして残す」技術伝承アプローチをする際のTipsの最後の一つである、「必要なとき必要な人が観覧できるようにする」について解説しました。手順書の効果は初心者が利用できるアクセス体制に依存し、技術伝承の成功に影響します。管理者や教育者は手順書のアクセス方法を意図的に設計し、忙しい業務環境でも利用可能にする必要があります。その具体的方法論として、「フォルダ整理」「QRコードを現場に貼る」という事について触れました。
今回の記事にて、本シリーズは終了です!皆様の技術伝承が効果的な促進に貢献できれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました。