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【2025年版】アイトラッキングによる技術伝承のすすめ

作成者: 岩田駿生|2025/03/02 7:21:14

1.アイトラッキングとは?

アイトラッキングとは、人間の視線の動きを追跡し分析する技術のことで、学術研究、技術伝承・教育、医療、マーケティング、ユーザビリティの検証など、幅広い分野で活用されています。

アイトラッカーと呼ばれるスクリーンベースの(ディスプレイとカメラが一体になった)デバイスや、ウェアラブルデバイス(ARグラスのようなメガネタイプ)を使って
目の動きを検出することで、視線のパターン、まばたき、瞳孔径などのアイトラッキングデータを取得します。
それらのデータを活用して、人間が何に注目し、どのように情報を処理しているかなど、無意識の行動を明らかにすることができます。

本記事では、その中でも技術伝承や教育に課題をもっている方に向けて、アイトラッキングの活用方法について解説します。 

 

2.アイトラッカーの種類

アイトラッカーは人の眼球運動を計測できる専門装置ですが、これには大きく分けて据え置き型の「スクリーンベースアイトラッカー」と装着型の「ウェアラブルアイトラッカー」の2種類があります。

①スクリーンベースアイトラッカー

カメラ、センサーとディスプレイが一体になっているタイプのデバイスです。被験者がディスプレイの前に立つまたは座るだけで、高精度の視線計測を行うことができます。
装置を身に着ける必要がないため、被験者に身体的な負担をかけにくいのが特徴で、意思の疎通がしにくい小さな子どもや、高齢者を対象とした調査にも非常に適しています。


②ウェアラブルアイトラッカー

スマートグラスタイプや帽子、ヘルメットなどに装着するタイプのデバイスがあります。メガネや帽子と同じように装着できるため、被験者の自由な行動を妨げにくいのが特徴です。
屋外や建物内、運転中やスポーツなどさまざまな場所で利用でき、その際に人の視線がどう動いたかというデータをリアルタイムで取得することができます。

取り回しのきくウェアラブルアイトラッカーは、製造ライン内での目視検査や、設備の日常点検、バリ取りや研磨仕上げ等の手加工など、熟練者に属人化した作業の技術伝承に活用できます。 


それぞれの比較を以下にまとめました。

  スクリーンベースアイトラッカー ウェアラブルアイトラッカー
設置方法 ディスプレイに固定 メガネやヘッドセット型で装着
使用環境 室内など固定環境向け 屋内外どこでも使用可能
取り回し 低(デバイスを移動できない) 高(装着して移動可能)
精度 高(視線データの安定性が高い) 中(環境により精度変動あり)
活用用途 UX/UI/広告評価、学術研究 行動分析、技術伝承、医療研究
ユーザーの負担 低(デバイスを装着しないため) 中〜高(装着による負担あり)
データ収集の自由度 低(画面上に限定した視線計測) 高(現実環境で自由に視線計測)

用途次第で選定方法が変わりますが、大きく分けると、スクリーンベースは静的な環境での視線計測に、ウェアラブルは動的な環境での視線計測に適しています。

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3.アイトラッキングを活用した技術伝承と応用

新人の加入や作業員の人事異動に伴って、技術伝承や教育が必須になるシーンは製造や医療、インフラ業界、に限らず、人の手を使って作業する現場では常に課題としてあげられます。

高い品質を保ちつつ、さらに生産性を向上させていくためには、迅速かつ正確な技術伝承や教育コンテンツの作成が不可欠です。
これらの課題を解決する技術として、アイトラッキングは以下の方法で活用することができます。

3-1.カン・コツの見える化

熟練者の技術を継承する際に最も重要な要素のひとつは、言葉では表現しにくい「カン・コツ」を可視化することです。
このカン・コツを、アイトラッキング技術を活用することで、熟練者が どこをどのように見ているのか を客観的に記録することができます。

例えば、熟練の溶接工が「適切な温度や圧力を感覚的に判断している」と言われても、それを言葉だけで説明するのは難しいでが、アイトラッキングを用いれば、作業中に どこに視線が集中しているか、どの順番で目を動かしているかがデータとして可視化されます。
この情報を分析することで、熟練者特有の視線の動きや注意点を理解し、技術習得の効率を大幅に向上させることができます。

3-2.インタビューによる言語化

アイトラッキングによって得られた視線データをもとに、熟練者へインタビューを行い、視線の動きと判断基準を言語化します。
このプロセスを通じて、暗黙知(経験や感覚的な知識)を形式知(言語化された知識)へ変換し、技術継承のハードルを下げることができます。

例えば、手術を行うベテラン医師の視線データを分析しながら「この部分を長く見ているのはなぜか?」と質問することで、「この箇所の血流を確認している」「この角度で切開するとリスクが減る」といった、経験に基づいた判断基準を明確にすることができます。

こうしたインタビュー内容をマニュアルに組み込むことで、新人が学ぶ際に 「何を見て、どう判断すべきか」 をより具体的に理解できるようになります。

3-3.動画マニュアル化



アイトラッカーを用いて撮影した視線データとインタビューを組み合わせて、より視認性が高い、分かりやすい動画マニュアル を作成することができます。

アイトラッキング技術を用いた映像では、熟練者の視線の動きが手順ごとに表示されるため、動画を見て追体験することで「どこを見て、どう判断すべきか」 を直感的に学ぶことができ、新人者の成長をより促すことができます。

例えば、製造ラインでの組み立て作業を動画にする場合、熟練者の視線の軌跡を表示することで、「この部品の位置をまず確認する」「ここでミスが発生しやすいので注意する」といった情報を視覚的に伝えることができます。

3-4.オートメーション化


アイトラッキングを活用した技術継承の応用として、製造ラインや検査工程のオートメーション化(自動化)が挙げられます。
熟練者の視線データ分析し、作業プロセスを最適化することで、最終的には周辺機器のIoTやAIなどを活用して人の判断を必要としないオートメーション化を実現できます。

例として以下のような応用方法が考えられます。

①AIによる自動検査システム
熟練者の視線データをもとに、どこに重点的に注意を払っているかを学習し、不良品を自動で検出し選別するシステムの構築。

②ロボットの精密制御
熟練者の作業を視線データとともに記録し、ロボットに学習させることで、より繊細な作業のオートメーション化を実現。

③製造工程の最適化
アイトラッキングとAIを活用し、作業者の判断をデータ化・分析することで、高品質を保ちつつ効率の良い製造工程を自動で最適化。

このように、アイトラッキングを活用することで、単なる技術伝承にとどまらず、作業プロセスの最適化や、最終的な自動化へと発展させることが可能になります。


4.まとめ

今回は"アイトラッキングによる技術伝承"を解説しました。
アイトラッキングを活用した技術伝承は、熟練者のカン・コツを見える化し、言語化することで、暗黙知を動画マニュアル化し「熟練者の視線付き動画」を活用して、より理解しやすいマニュアル作成に役立てることができます。
視線データ活用してオートメーション化し、最終的に製造ラインや検査工程のオートメーション化へと応用させることで、より効果的なDXを実現できます。

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ご覧いただきありがとうございました。

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