【2026年版】アイトラッキングによる技術伝承のすすめ
アイトラッキング技術を活用した技術伝承の方法を解説。カン・コツの見える化から動画マニュアル化まで、4つのステップでご紹介。
アイトラッキングで「カン・コツ」を見える化する時代へ
製造業や建設業の現場では、熟練者の退職による技術伝承の断絶が深刻な課題となっています。熟練者が持つ「カン・コツ」は言語化が難しく、従来のマニュアルや口頭指導だけでは十分に伝えきれません。
そこで注目されているのが、アイトラッキング(視線追跡)技術です。熟練者が「どこを」「どのタイミングで」「どのくらいの時間」見ているかを可視化することで、暗黙知の伝承を科学的に支援します。本記事では、アイトラッキングの基本から技術伝承への具体的な応用方法までを解説します。
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アイトラッキングとは
アイトラッキング(Eye Tracking)とは、人間の視線の動きをリアルタイムに計測・記録する技術です。赤外線センサーやカメラを用いて、瞳孔の位置や動きを追跡し、「どこを見ているか」を正確にデータ化します。
アイトラッキングで取得できる主なデータは以下のとおりです。
| データ項目 | 内容 |
|---|---|
| 注視点(Gaze Point) | 視線が向いている座標 |
| 固視(Fixation) | 一定時間以上同じ箇所を注視している状態 |
| サッカード(Saccade) | 注視点から次の注視点への素早い視線移動 |
| ヒートマップ | 視線の集中度を色で可視化した分布図 |
もともとは学術研究や UX デザインの分野で活用されてきましたが、近年は産業分野、特に技術伝承の領域で急速に注目を集めています。
アイトラッカーの種類
アイトラッカー(視線追跡デバイス)は、大きく2つのタイプに分類されます。用途に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。
スクリーンベース型
モニターの下部に設置し、画面を見ているユーザーの視線を追跡するタイプです。主にデスクワークやPC画面上のUX調査に使用されます。
- 設置が簡単で、特別な装着が不要
- PC画面上のコンテンツ分析に最適
- 動き回る現場作業には不向き
ウェアラブル型
メガネ型のデバイスを装着し、実際の視界における視線の動きを追跡するタイプです。現場での作業分析や技術伝承には、こちらのタイプが適しています。
- 装着者の一人称視点で視線を記録
- 動きのある現場作業の分析が可能
- スマートグラスとの統合も進んでいる
| 比較項目 | スクリーンベース型 | ウェアラブル型 |
|---|---|---|
| 設置方法 | モニター下部に設置 | メガネ型を装着 |
| 主な用途 | UX調査、画面分析 | 現場作業分析、技術伝承 |
| 移動の自由度 | 固定位置での使用 | 自由に動き回れる |
| 現場適性 | 低い | 高い |
アイトラッキングの技術伝承への応用
アイトラッキングを技術伝承に応用する方法は、段階的に進めることで効果を最大化できます。以下の4つのステップで活用を進めます。
ステップ1:カン・コツの見える化
ウェアラブル型アイトラッカーを熟練者に装着してもらい、通常の作業を行ってもらいます。取得した視線データを分析することで、熟練者が「どこを見て判断しているか」が明確になります。
たとえば、外観検査の工程では、熟練者は特定のポイントを決まった順序で確認していることが多く、この視線パターンこそが「カン・コツ」の正体です。ヒートマップとして可視化することで、言語化が難しかった暗黙知を「見える形」にできます。
ステップ2:インタビューによる言語化
視線データを熟練者本人にフィードバックし、「なぜこのポイントを見ていたのか」をインタビューで言語化します。視線データがあることで、熟練者自身も無意識の行動を客観的に振り返ることができ、より正確な言語化が可能になります。
- ヒートマップを見ながら「ここを見ているのはなぜか」を確認
- 注視の順序や時間の長さから「判断基準」を引き出す
- 新人との視線パターンの差を比較し、教育ポイントを特定
ステップ3:動画マニュアル化
見える化したカン・コツと言語化した判断基準を、動画マニュアルに落とし込みます。視線データの可視化映像とあわせてマニュアルを作成することで、「どこを見ればよいか」が直感的に伝わるコンテンツになります。
この段階で、Diveのような動画マニュアルシステムを活用すると、手順ごとの分割・フォーマット化が自動で行えるため、効率的にマニュアルを整備できます。
ステップ4:オートメーション化
蓄積された視線データをAIに学習させることで、将来的には検査工程の自動化や、作業者の習熟度の自動評価にまで発展させることが可能です。
- 熟練者の視線パターンをAIが学習し、画像認識による自動検査を実現
- 新人の視線データと熟練者のパターンを比較し、習熟度を定量評価
- 作業の抜け漏れをリアルタイムで検知し、アラートを表示
アイトラッキング×動画マニュアルなら「Dive」
アイトラッキングで取得した知見を現場で活かすには、動画マニュアルとしての整備が不可欠です。動画・AR手順書システム「Dive」は、アイトラッキングと動画マニュアルを組み合わせた技術伝承を支援します。
Diveは、AI自動手順分割(特許技術)により、通し動画を手順ごとに自動分割します。これにより、マニュアル作成工数を約9割削減できます。アイトラッキングで撮影した視線データ付きの映像も、手順ごとに分割・整理して管理できます。
主な特長は以下のとおりです。
- AI自動手順分割(特許技術)で通し動画を手順ごとに自動分割
- 作成工数を約9割削減
- 手順ごとのフォーマット化で品質を統一
- スキルマップ統合で習熟度を可視化
- 16ヶ国語翻訳に対応
- AR・スマートグラス対応(8種類以上)
- 無料プランから開始可能
- 手順書数・ストレージ無制限
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まとめ
アイトラッキングは、熟練者の暗黙知を科学的に可視化し、技術伝承を加速する強力なツールです。本記事では、以下の4ステップでの活用を提案しました。
- カン・コツの見える化(視線データの取得・分析)
- インタビューによる言語化(熟練者へのフィードバック)
- 動画マニュアル化(視線情報を含む手順書の整備)
- オートメーション化(AIによる検査自動化・習熟度評価)
技術伝承の課題は待ったなしの状況です。まずはウェアラブル型アイトラッカーで熟練者の作業を記録し、視線の見える化から始めてみてください。そして、取得した知見をDiveのような動画マニュアルシステムで整備し、組織の財産として蓄積していくことをおすすめします。
参考文献
- 経済産業省「2025年版ものづくり白書」
- 厚生労働省「技能伝承に関する調査研究報告書」
- Tobii Technology「アイトラッキング技術概要」(https://www.tobii.com/)
- Dive公式サイト(https://www.divedx.com/)